3巻50  悲しみもだえる時、人はすべてを神の御手に任せねばならない

「主なる神、聖なる父よ、今もいつも世々にあなたは祝されんことを。あなたのみ旨は常に行われ、あなたのお定めになることは常に善である。あなたの下僕は、自分をも他の人をも喜びとせず、あなたにのみ喜びを置いています。あなただけが、喜びであり、私の希望と栄光、楽しみと誇りです。何一つ功徳のない下僕は、あなたからもらった物以外に何を持っているでしょうか?あなたが下僕に対してしてくださったこと、与えてくださったことは、全てあなたのものです。私は貧しく、幼児から貧苦のうちに生きてきました(詩編87・16)。私の心は、時に悲しみに泣き、時に、攻めてくる邪欲に悩まされ、時に深く心を騒がせます。私は平和の喜びを望んでいます。慰めの光で養われる神の子らの平和に、憧れています。私に平和を与え、聖なる喜びを注いでくださるなら、下僕の心は、敬虔な賛美のうちに喜び勇ことでしよう。しかし、あなたが時々なさるように、私から遠ざかられると、下僕は、掟の道(詩篇118・32)を歩めず、膝を折って、胸を打つことしかできません。あなたの光が私の頭上に輝き、御保護の翼に隠れて、誘惑から守られていた昨日とおとといは、もはや過ぎ去りました。正しい御父よ、敬うべき御父よ、下僕の試練の時はきました。愛する御父よ、この時にあたって、下僕が、あなたのために何事かを忍ぶのは、当然のことです。永遠に崇めるべき御父よ、あなたが永遠の昔より予見された時はきました。そして下僕は、しばしの間、外部からの打撃を受けて倒れるかもしれません。しかし内部においては、絶えずあなたのそばに生きています。しばしの間は、侮辱を受け、他人に侮られ、面目を潰され、苦しみと病気にうちくだかれるでしょう。しかしそれは、新しい光のうちに、あなたと共に復活し、天において光栄を受けるためなのです。聖なる御父よ、あなたはこう定め、こうお望みになり、そしてあなたの御命令通りに行われました。主よ、あなたを愛する者にとって、あなたへの愛のために、この世において、み旨による人と時とに苦しめられることこそ、恩恵と言わねばなりません。あなたの許可と摂理と、何か正しい理由なしには、何一つこの世に起こりません。主よ、私を卑しめてくださったのはよい事でした。それによって私は、あなたの正義の定めを悟り(詩篇118・71)、すべての高慢と自負心を脱ぎ去ることができました。恥辱に赤面した事は、私にとって有益でした。そして、私は、人間ではなく、あなたに慰めを求めることを教えられ、常に正義と公正と、悪人を利用し、正しい人に試練をお与えになるあなたのはかりがたい定めを知りました。私の罪を容赦せず、苦しみで私を突き通し、外部的内部的な苦痛を与えて、厳しく鞭打ってくださったことを、感謝いたします。人を叩いてのち治し、「黄泉の門に連れ去ってまた連れ帰る」(トビア13・2)霊魂の天の医者である私の神以外、どんなものも、私を慰めえません。あなたの教えが私を導き、あなたの罰が私に教えてくださいます。愛する御父よ、私はあなたの手中にあります。あなたの懲らしめの鞭の下に、私はひれ伏します。私の背と首とを打ってください。そうすれば私は、罪に迷いやすい自分を、み旨のほうに向きを変えさせることができます。恵みによって、敬虔な謙遜をお与えください。そうすれば私は、あなたの指図に従って歩みます。私のすべてをお任せします。あなたが、私を懲らしめ導いてください。後の世ではなく、この世で罰せられる方が良いのです。あなたは、全部も部分も、全てをご存知です。人間の良心も、あなたの前には秘密がありません。あなたは、将来のことを、それが起こる前に知っておられます。この世で起こる事柄についても、知らせを受け、忠告を受ける必要がないのです。あなたは、私の霊的進歩のために、何が必要かを、また罪悪のサビを取るために患難がいかに役立つかを、知っておられます。私に対して、み旨を行ってください。そして、私の罪ある生活をご覧になっても、私から遠ざからないでください。主よ、私が、知るべきことを知り、愛すべきことを愛し、あなたの喜ばれることを讃え、あなたにとって尊いことを尊び、あなたにとって卑しいことを軽蔑させてください。この世のことを、人の目で裁くことのないように、私と同じ無知な人々の話から物事を判断することのないようにしてください(イザヤ11・3)。物質的、霊的なことを、真理に基づいて判断し、特にいつもみ旨を実行させてください。人は、感情に従って判断するので、過ちを起こしやすいものです。見えるものだけを愛してこの世に従う者も、誤りやすいものです。他人から、実際以上に偉く思われても、それで実際偉くなるのでしょうか!人間が褒めるときは、嘘つきを嘘つきが、虚栄の強い者を虚栄の人が、めくらをめくらが、弱い者を弱い人が、互いにほめ合うに過ぎません。実際は、理由もなしに他人をほめるのは侮辱することに等しいのです。『人間は、主のみ前にある以上の者ではなく、それだけの価値しかないと』と謙遜な星フランシスコは言っています」。