2巻 5 自分を反省する

私たちは、自分を信頼しすぎてはならない。私たちは、能力と分別とを失いがちである。私たちの心の光はとぼしい。しかも、今までのなおざりによって、それも失ってしまっている。私たちは、自分の心がいかに盲目であるかにさえ、気付かないことがある。私たちは、幾度となく悪を行い、しかも更に悪いことには、それを弁解しようとさえする。欲望に支配されているのを、熱意のためだと思い込むこともある。また、他人の小さい短所をとがめるが、自分の短所は、それよりも大きくても、見逃すことが多い。他人から受ける苦しみには、非常に敏感であるが、自分のために、他人がどんなに苦しんでいるかには、気付こうとしない。自分の行いを、正しく反省すれば、他人を、厳しく裁く理由はないと悟るだろう。霊的な人は、何よりも、まず自分の霊魂を考える。自分に注意している人は、軽々しく他人のことについて話さない。他人について話さず、自分を反省しない限り、人はいつまでも霊的な敬虔な人になれない。自分のことと、神のことに、深く心を配るなら、外部の出来事には、さほど動かされないものだ。自分自身にいないとき、あなたはどこにいるだろうか。あなたが、全世界を歩き回っても、自分をおろそかにするなら、何の益があろう。まことの平和を味わい、心の調和を得ようと思うなら、あなたは、他のことを全部さしおいて、まじ自分自身に注意しなければならない。あなたが、世俗のことを、自分から切り離すなら、大きな霊的利益を得る。しかし、世俗のことに気を使えば、大きな損害を受ける。神からのことでない限り、あなたはどんなものも、偉大だ、高尚だ、好ましい、快いなどと思ってはならない。被造物から受ける慰めは、どんなものもむなしいと考えよ。神を愛する霊魂は、神より劣るものを、ことごとく軽視する。神だけが永遠であり、広大無辺であり、すべてを満たすものであり、霊的慰めであり、心の真の喜びである。