2巻 4 心の清さと意向の正しさ

人には、世俗から離れて、高くかけ上がるために、二つの翼がある。すなわち心の清さと単純さとである。意向は単純、感情は清くあらねばならない。単純さは、人を神に近づけ、清さは神を得させ、神を悟らせる。あなたの心がふしだらでなく、あらゆる執着から、解き放たれているなら、どんな善行をするのも難しくない。あなたが、神のみ旨と、他人の利益以外、何も目的を置かず、何も求めないなら、心の自由を恵まれるであろう。あなたの心が素直であれば、どんな被造物も、あなたにとって、生命の鏡となり、知識の本となる。どんな小さな、いやしい被造物でも、すべて、神の慈悲を現しているのだから。あなたの心が、清くて善良なら、すべてをありのままに見て、理解することができる。清い心にとっては、天にも地獄にも隠されたところはない。人は、自分の心の如何によって、外部のことを判断するものである。この世に、喜びがあるとすれば、それを味わうのは清い心の人に違いない。そしてまた、患難と煩悶とがあるとすれば、それを誰よりも強く感じるのは、良心の濁った人である。鉄を火の中に入れると、さびが得て灼熱するように、心をあげて神に向かう人は、倦怠を脱ぎ捨て、新しい人に生まれ変わる。熱心がさめ始めると、わずかの労苦もいとい、進んで世俗の慰めを求めるようになる。しかし、真実に自分を抑えて、神の道を勇ましく歩めば、前は、重く持て余したものを、軽いとさえ思い始めるだろう。