9 天使祝詞とは 2

天使祝詞は、私たちが、いと高い方の栄光のために歌うことができる最も素晴らしい賛歌の一つです。天使祝詞によってご托身と救世のお恵みが生じたのですから、私たちもまた人間に対する神の計ることのできない優しさに対して、いとも聖なる三位一体に感謝するため、それを繰り返すのです。私たちは、救い主として、御独り子を私たちに与えてくださるほど、この世を愛してくださった父である神を賛美します。私たちは、聖子は人となられ、私たちを救ってくださった聖子を賛美します。私たちは、処女マリアのご胎内に主の御体を形作ってくださった聖霊を賛美します。そして、深い感謝の念を抱きながら、救いという最高の贈り物に対して、信望愛を示しながら「めでたし」の祈りを唱えないといけません。この新しい賛歌は、神の御母を称賛しており、直接マリアに向けて歌われますが、それにもかかわらず、いとも聖なる三位一体の栄光も讃えているのです。私たちがマリアを賛美するときには、神が創造されたもののなかで、一番完全な方を讃えているのですから、聖父なる神の栄光を賛美していることになります。また、イエス・キリストの御母を讃えているので、神の聖子の栄光も讃えることになります。さらにまた御母を聖霊で満たされることを讃えているので、聖霊の栄光も讃えているのです。また、私たちが、天使祝詞を唱えて聖母を賛美し崇めるときに、聖エリザベトの賛歌に聖マリアがしたのと同じように(下の注参照)、私たちの唱えた聖母への賛歌を、ご自身には何も残さず、すべてそれらを神に向けて賛美します。また、天使祝詞は、聖マリアにお捧げできる最高の賛美であり、最高の愛の表現でもあります。ある日、聖メクティルドゥが、聖母への愛を表現するために、今まで自分がしていたのよりも、更にすぐれた方法はないものかと思案しながら祈っていたときに、恍惚の状態になりました。聖母が、メクティルドゥに出現され言いました。「私の娘よ、天使祝詞によって私を神の母という高い位に挙げてくださったこの祈りを唱えることは、私を最も喜ばせることを知ってもらいたいのです。アヴェという言葉によって、神はその限りない力で、人祖の女性が屈服してしまったあらゆる罪や、それに伴う惨めさから護ってくださったことを、私に教えます。光の婦人という意味を持つマリアという名は、神が私を知恵と、天地を明るく照らす輝く星のような光で満たしていることを、私に教えます。恵みに満ちた方という言葉は、聖霊が溢れんばかりに聖寵を私に降り注いでくださるので、私も聖寵を願う人々に、自分を通じて豊かにそれを与えることができるのだということに気づかせてくれます。主はあなたとともにおられますと私に唱える時には、永遠の御言葉が私の胎内で托身された時の、言葉では表し尽くせない喜びを新たにしてくれます。あなたは女のうちで祝福されと私に唱える時には、私をこの最高の幸せにまで挙げてくださった全能の神の御憐れみを賛美することにつながります。そしてご胎内の御子イエスも祝福されていますと私に唱える時には、人類を救ったことのために崇められ、栄光を着せられる私の聖子イエスを見て、私と共に喜ぶのです」。

★注)(聖ベルナルドのマニフィカトの注釈)。エリザベトは聖霊の内的な照らしを受けて、若いいとこを神のおん母と認めた。感激した彼女の口をついて、賞賛と感嘆のことばがほとばしり出る。最も謙遜なマリアは、エリザベトのあらゆる賛辞を、ご自身には何も残さず、全て神に向けて言います。「エリザベト、あなたは主の母をたたえられますが、私の魂は主を崇めています。あなたは、わたしの声にあなたの子が胎内で喜びおどったと言われますが、わたしの精神は救い主である神によって喜びおどっています。あなたは信じた女(ひと)を幸いとおっしゃいますが、わたしの信仰と幸福は、慈しみ深い神が顧みてくださったからです。これから後、いつの代の人もわたしを幸いな者と呼ぶでしょう。主がいやしいはしために目をとめてくださったからです」