五七  墓の監視

金曜から土曜にかけての夜中に、ユダヤ人の当局者たちは不思議な出来事と、民衆の情勢に対しいかなる処置をとるべきかについて相談しあった。またその夜かれらはピラトの所に行って告げた。 - あの民衆の扇動者は生存中三日目によみがえると告げていた。だから三日間墓を番するようにと頼んだ。それは弟子たちがイエスの死体を盗み取って、かれの復活を言いふらすようなことがないようにとの理由と、もしそうなると第二の欺瞞は第一の欺瞞よりなおいやなものになるからと言った。ピラトはもはやこれ以上この事件にかかわりあいたくなかった。かれは言った。「おまえたちは自分で番兵を持っているじゃないか。行って墓を好きなように見張れ」。しかしピラトはすべてを見届けて、報告させるために番兵の中にカシウスを加えた。わたしは十二人の兵卒が日の出前早々出かけて行くのを見た。兵卒たちはローマ兵の服装でなく神殿の兵卒の服装であった。かれらは夜中にもよく見えるように、また暗い墓穴の灯として棒の先に火のかごをつけて持って行った。かれらが到着するやまず遺骸の存在を確かめた。次ぎに墓の扉の上に十文字にバンドを張り、それに封印をした。番兵は墓の扉に面して座った。五人ないし六人の番兵が交代で見張った。時々数人の者が食物を取りに街に行った。カシウスはしかし決してその部署を離れなかった。かれは常に墓に面し立ったり座ったりしていた。この間かれは大きな内的恩恵を受け深い観想に与った。このような状態はかれには全く経験のないことだった。かれはここで新しい人間に生まれ変わった。そして痛悔と感謝と礼拝とに心が満ちあふれた。