三五  初めて倒れたもう

狭い道は再び少し広くなり登り坂となりはじめた。そこには道のまんなかにくぼみがあり、雨降りの時には水や汚い物がたまった。その上、またいで行かなければならないほどの高い石もあった。イエスは十字架をになわれて、ここまで来られた時、もはや一歩も進むことが出来なくなった。獄吏は主を無慈悲にも引っぱり駆り立てた。十字架を荷っている主はこの飛び出た石の所で倒れた。重い十字架は主の横にころげた。駆り立て役の獄吏は主を呪い、足蹴りをした。行列はとまり、騒ぎが起こった。主は助け起こしてくれる者を求められるが、空しく手を差し伸べるだけであった。主は静かに言われた。「ああ、間もなくすむことだ」。そして祈られた。ファリサイ人は怒鳴った。「起きんか。立たせろ。ぐずぐずしていると死んでしまうぞ」。神の助けによって強められ、主が頭をあげるとすぐに、悪魔のような悪者たちは主を助け起こすどころか、茨の冠を再び主にかむらせた。そして虐待を加えながら、彼らは主を引き起こし、ふたたび十字架をその肩にのせた。茨の冠の幅が広いので、重い十字架をになうためには、主は痛ましくも茨で傷つけられた御顔を一層ひどく曲げなければならなかった。それは恐ろしい苦しみであった。このように主は、ますますひどくなる苦しみを忍びつつ、登り坂をよろめきながら歩まれた。