3 すべてのことに欲求をなくすこと。また、欲求をなくすことが夜とよばれる理由

一般的な意味として、夜というのは光の喪失、およびその喪失のために、光によって見ることのできるすべてのものからひき離されことである。その夜のなかわれわれの視力は覆われて何も見えない状態におかれる。

これと同じように、すべてのものに対する欲望の楽しみから心をはぎとってしまえば、霊魂は暗く何もない状態におかれる。霊魂は、欲求によって、それぞれ味わうことのできるすべてのものにやしなわれ、そして育つので、欲求が消えるならば、霊魂は、そうしたすべてのものの楽しみの中に糧を見出すことがなくなり、霊魂は暗く、いわば空白の状態になる。

欲求を受け取る機能として、耳、目、鼻、口、触れることなどがある。これらの機能から受け取る喜びを奪いとるならば、霊魂はこの感覚に関して暗く空虚になる。つまり感覚から受け取る楽しみを退け、それから離れれば、すべてが暗く、何もなくなってしまう夜のようなものになるということができる。というのは、霊魂は、感覚によって知ること以外、なにも手段をもたないからである。

人間は、聞いたり見たり、嗅いだり味わったり、感じたりするのをすっかりやめてしまうというわけにはいかない。ここでは、聞くこと、見ること、臭いをかぐこと、口にすること、触れることなどを、行わないことを言っているのではなく、その行為から受ける楽しみとか欲望から離れ、そうしたことを行っても心を自由にしておくことを言っている。