1 天使

使徒信条は、神は「天地の創造主」であると宣言し、また、ニケア∙コンスタンチノープル信条は、「見ゆるもの、見えざるものすべての造り主」と述べています。

聖書にある「天と地」という表現は、存在するすべてのもの、全被造界を意味します。それはまた、被造界のうちには、天と地を結ぶと同時に区別する役目をもったきずながあるということも示しています。「地」は人間の世界です。「天」(しばしば複数形が用いられます)は大空を示しますが、また同時に、「天の」父である(マクイ5∙16参照)神の固有な「場」も意味します。したがって、終末的な栄光としての「天」という意味もあるのです。さらに「天」は、神を取り巻く霊的被造物一天使一の「場」も意味しています。

第4ラテラン公会議の信仰告白は、次のように宣言しています。神は「時の始めから、霊的被造物と物的被造物、天使と地上の世界のそれぞれを無から造られ、次に、精神と肉体の両方を具えた人間を造られました」。

天使の存在は信仰の真理である

物質的ではない、聖書によって通常天使と呼ばれている霊的存在者がいるということは、信仰の真理です。その点、聖書の教えと聖伝とは一致しています。

天使とは何か

聖アウグスチヌスは次のように語っています。「『天使』とは、本性ではなく役目を指していることばです。それでは、その本性を何と呼ぶのですか、とあなたは問うでしょう。その答えは霊です。役目は、と問われれば、天使と答えます。何であるのかといえば、それは霊で、何をするのかというのであれば、それは天使なのです」。天使は全存在をあげて神に仕える者、神の使者です。天使たちは「いつもわたし〔イエス〕の天の父のみ顔を仰いでいる」(マタイ18∙10)ので、「主の語られる声を聞き、みことばを成し遂げるもの」(詩編103∙20)なのです。

天使は純粋に霊的な被造物として、知性と意志を備えています。「わたし」という個であり、不死の被造物です。さらに、その完全さは目に見える全被造物を凌駕します。天使たちの栄光の輝きがそのことを示しています。

キリストは「そのすべての天使とともに」おられる

キリストは天使界の中心です。「人の子〔が〕栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき」(マタイ25∙31)とあるとおり、天使たちはキリストのものです。天使たちがキリストのものであるのは、キリストによって、キリストのために造られたからです。「天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、万物は御子において造られたからです。つまり、万物は御子によって、御子のために造られました」(コロサイ1∙16)。天使たちが何よりもキリストのものであるのは、キリストによって救いの計画の使者とされたからです。「天使たちは皆、奉仕する霊であって、救いを受け継ぐことになっている人々に仕えるために、遣わされたのではなかったですか」(ヘブライ1∙14)。

天使は世界創造のときから、救いの歴史を通して、この救いを何らかの形で告げ、神の計画の実現に奉仕しました。たとえば、天使は地上の楽園を閉ざし、ロトを守り、ハガルとその子を救い、アブラハムの手を止め、律法は天使の働きを通して伝えられ、さらに天使は、神の民を導き、誕生や召し出しを告げ、預言者たちを助けました。これらは、天使の働きのうちの幾つかにすぎません。最後に、天使ガブリエルは、イエスの先駆者である洗礼者ヨハネの誕生と、イエスの誕生を告げています。

人となられたみことばの生涯は、その受肉から昇天まで、天使たちの礼拝と奉仕に囲まれています。神は「その長子をこの世界に送るとき、『神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ』といわれました」(ヘブラィ1∙6)。キリストが誕生したときの天使たちの賛歌は、教会の賛歌の中にたえずこだましています。「いと高きところには栄光、神にあれ……」(ルカ2∙14)。天使は幼子イエスを守り、荒れ野で仕え、また、かつてのイスラエルのように彼らを通して敵の手から救われることができたにもかかわらず、死の苦悶の中にあるイエスを力づけました。キリストの受肉と復活の喜ばしい知らせを告げるのも、また天使です。天使はキリストの再臨のときにこれを告げ、審判の席にはべるはずです。

教会生活における天使

すべての教会生活が、天使たちの神秘的で強力な助けの恩恵に浴します。

典礼で、教会は天使たちと声を合わせ、三回「聖なるかな」を歌って神を礼拝します。教会は天使の助けを呼び求めます(たとえば、死者の典礼の天使たちがあなたを天国に導き……の祈りや、ビザンチン典礼の『ケルビム賛歌』の中などで)。教会は、特定の天使たち(聖ミカエル、聖ガブリエル、聖ラファエル、守護の天使)の祝日を祝います。

人間は生まれてから死ぬときまで、天使たちの保護と執り成しを受けています。「おのおのの信者はいわばそれぞれの保護者や牧者のような天使に付き添われ、いのちに導かれます」。キリスト者はすでにこの世にいるときから、信仰によって、神と一つに結ばれた天使たちや人々との至福な交わりにあずかっているのです。