第2項 典礼の多様性と神秘の単一性

諸典礼伝承と教会の普遍性

エルサレムの初代教会からキリストの再臨まで、使徒伝承の信仰に忠実な神の諸教会がさまざまなところで祝うものは同じキリストの過越の神秘です。典礼において祝われる神秘は一つですが、これを祝う形式は多様です。

キリストの神秘は、いかなる典礼伝統をもってしても表現し尽くすことのできないほど奥が深く、豊かなものです。さまざまな典礼儀式の起源と発達の歴史を見ると、それらが互いに補完し合うものであることに驚かされます。諸教会は、信仰と信仰の諸秘跡とをともに保ちながらこれらの典礼伝承を実践してきたので、相互に充実し合い、すべての教会に共通な伝統と使命とを忠実に保って成長したのです。

多様な典礼伝承は、まさに教会の使命のゆえに生じました。同じ地域にあり、同じ文化を持つ諸教会は、キリストの神秘を自分たちが共有する文化の特色に応じて表現し、祝うようになりました。この特色は「ゆだねられた信仰の遺産」の伝達、典礼象徴、兄弟的共同体の組織のあり方、諸神秘の神学的理解や聖性の型などに表されています。こうして、すべての民の光であり救いであるキリストは、教会が派遣され、根を下ろす民族や文化に、各地の教会の典礼生活を通して紹介されることになります。教会は普遍的です、したがって、あらゆる文化の真の富を浄化しながら、それらを一つの教会に取り入れることができるのです。

伝統的な典礼様式ないし現在教会で用いられている典礼様式には、ラテン典礼(主としてローマ典礼、そのほかに、アンブロジオ典礼などのある地方教会の典礼とある修道会典礼なども含む)、ビザンティン典礼、アレクサンドリア典礼ないしコプト典礼、シリア典礼、アルメニア典礼、マロン典礼、カルデア典礼などがあります。「聖なる公会議は、伝統に忠実に従い、合法的に承認されているすべての典礼様式を、聖にして母なる教会が、同等の権利と栄誉を持つものと認め、それらが将来も保存され、あらゆる方法で促進されるように望むものであることを宣言します」。

典礼と文化

したがって、典礼はさまざまな民族の特性や文化に対応すべきものです。キリストの神秘が「信仰による従順に導〔き〕、すべての異邦人に」(ローマ16∙26)知られるようになるため、その神秘はあらゆる文化の中で告げ知らされ、祝われ、具現されなければなりません。それはこれらの文化が破壊されずに、キリストによって新しいいのちを与えられ、完成されるようになるためです。まさに、キリストによって担われ変容された諸民族の固有な文化とともに、またその文化を通してこそ、神の多くの子らは御父に近づき、ただ一つの霊に結ばれて御父をたたえることができるのです。

「典礼、とくに秘跡の典礼には、不変の部分があります。神によって制定されたものとして、教会はこれを守り続けます。しかしまた同時に変えることのできる部分もあって、教会にはこれを新しく福音を受け入れた諸民族の文化に適応させる権限、時にはその義務があるのです」。

「典礼の多様性は豊かさの源泉でもありえますが、同時に、相互間の緊張、無理解、さらには分裂さえも引き起こしえるものです。典礼の多様性は、当然一致を害するものであってはなりません。その多様性は、共通の信仰、教会がキリストから受けた諸秘跡のしるし、そして位階制度のもとでの交わりに対する忠実さを守ってのみ表されるべきものです。諸文化への順応のためには回心が求められますが、また同時に、必要であれば、カトリック信仰と相いれない先祖伝来の慣習を捨てることも要求されます」。

要約

本来、典礼の挙行は教会が存在する民族の文化的表現方法を用いて行われるべきですが、文化に従属させてしまってはなりません。他方、典礼そのものは諸文化を生み出し、育てます。

キリストの同じ神秘を表し伝えるものとして合法的に認められた多様な典礼伝承や儀式は、教会の普遍性を表します。

典礼伝承の多様性における一致を保証する基準は、使徒伝承への忠実さ、すなわち、使徒から受け継いだ信仰および諸秘跡における交わり、つまり、使徒継承によって示され保証されている交わりを保つということです。