第5書 4章 聖ヨゼフの幸いなる死

八年間聖ヨゼフは病気にかかり、毎日、苦しみと神に対する愛の溶鉱炉のなかでますます清められました。体が衰弱していき日々、聖母の手厚い看護を受けました。聖ヨゼフの命が長くないことを知り、聖母は御子にお願いしました。「いと高き主なる神、永遠の御父の御子、世の救い主、あなたの光により、あなたの召し使い聖ヨゼフの死が迫っていることがわかります。あなたの慈悲により、聖ヨゼフが死に直面するのを助けてください。聖ヨゼフが平和と、あなたが天の門を開く日に永遠の報酬を受けるという希望をもって旅立ちますように。あなたの僕、聖ヨゼフが忠実に熱心にあなたと私を扶養したことを考えてください」。主は答えられました。「御母よ、あなたの要望も聖ヨゼフの功徳も素晴らしい。今私は聖ヨゼフを助け、私の民の王たちの仲間入りをさせましょう。他の人々にはしないことを、あなたの夫にしてあげましょう」。御母は御子に感謝しました。九日間、毎日毎晩、聖ヨゼフの枕元に御母か御子が付き添いました。主の命令により、天使たちは一日三回、九日間、天の音楽を主の賛美と聖ヨゼフの祝福のために奏でました。聖家族の家は芳香で満たされ、近くを通るひとたち全員をとても生き生きとさせました。逝去前のまる一日の間、聖ヨゼフは神の愛に燃え、恍惚の中に包まれました。恍惚の中で聖ヨゼフは神の真髄を明瞭に見て、全秘跡を追行する教会をみました。聖三位一体は聖ヨゼフに、古聖所にいる聖なる王たちや預言者たちに伝言することを命じました。そのメッセージは、アブラハムの胸から起き上がり、永遠の休息と幸福に向かう準備をするようにということです。この恍惚から我に返ると、聖ヨゼフの顔は輝いており、霊魂は全く変わっていました。聖ヨゼフは妻である聖母に祝福を願いましたが、聖母は御子に祝福を頼みました。御子の祝福の後、聖母は聖ヨゼフの祝福を請い、受け、祝福してくれた手に接吻しました。御母自身の名前により、リンポにいる諸聖人に挨拶するように頼みました。それを承知してから聖ヨゼフは、御子と御母の奉仕を十分に出来なかったことを詫びました。御子に、自分の生涯、特に臨終において頂いた祝福全てに感謝しました。御母に向かい、申しました。「あなたは女と義人のうちにて祝せられ給う。天使も人もあなたを讃えるべきです。全人類はあなたの威厳を知り、誉め、敬うべきです。あなたを通していと高き神の御名は代々に至るまで知られ、崇められ、高揚されるべきです。神と天使の宝であるあなたを創造した神は、永遠に賛美されますように。天国において、あなたと再会することを、私は楽しみにしています」。聖ヨゼフは主キリストに向かい、跪こうとしましたが、主がそばに来て腕に抱きました。聖ヨゼフは挨拶しました。「私のいと高き主なる神、永遠の御父の御子、世の創造主にして救い主よ、十分に奉仕できなかったことを赦してください。あなたの真の御母の夫として私を選んで頂いたことを、心から感謝します。あなたの栄光を永遠に感謝します」。主は仰せになります。「私の父よ、平和と私の永遠なる御父の恩寵にお住みになってください。救いが間近に来ていることを、リンポの義人たちにお伝えください」。主の御言葉を聞き、いと幸いなる聖ヨゼフは息絶えました。主は聖ヨゼフの目を閉じました。天使たちは高らかに歌い、聖ヨゼフをリンポに連れて行きました。聖ヨゼフは救い主の養父として崇められ、救いの近いことを知らせ、皆から大歓迎されました。長期間の病気が聖ヨゼフの死の原因ではなかったことを、私は書かなければなりません。聖ヨゼフの神に対する愛により、死はずっと前に可能でしたが、この愛に対して主は時を伸ばされました。この延期により、聖ヨゼフの死はより以上の愛の勝利になりました。時機がやっと到来し、聖ヨゼフの神に対する愛は開花し、自然死をすることになりました。死は身体の眠りであり、真の生命への始まりですから、聖ヨゼフの病床生活の最も輝かしい時であり、愛の勝利の時でした。その時聖ヨゼフは六十歳と二、三日の年齢でした。三十三歳で至福の乙女と結婚し、二十七年あまり結婚生活を送りました。聖ヨゼフの死のとき、聖母は四十一歳と六ケ月の年齢でした。その時、三十三歳の身体の若さがありました。御母には老衰の影は全くなく、女性として最も完全な状態を保っていました。聖ヨゼフは完徳と聖性において傑出していましたし、御母の保護者、恩恵者ですから、御母は当然聖ヨゼフの死を悼みました。聖ヨゼフと他の聖人たちとの違いを私は知りました。聖人たちが恩寵を自分の功徳なしに頂いたのは、自分の聖性を高めるためではなく、他の人たちを助けるいと高き神により良く仕えるためでした。一方、聖ヨゼフは自分の完徳達成のため恩寵を頂き、至聖なるマリアの夫としてふさわしくなりました。この奇跡的聖性は、聖ヨゼフが母の胎内にいるとき、神が作り始めました。精巧な霊魂と調和された心の住居として身体が作られました。母が妊娠七ケ月のとき、聖ヨゼフは聖別され、罪の芽は生涯中取り除かれ、不純な思いは全く起こりませんでした。聖ヨゼフが聖別されたとき、本人は気づきませんでしたが、母は聖霊の喜びを感じ、実情を分からなかったものの、自分の胎内の子、聖ヨゼフが素晴らしい人になるであろうと信じました。聖ヨゼフが生まれたとき、大変美しい赤ちゃんで、両親や親戚一同とても喜びました。洗礼者聖ヨハネの誕生と同様、人々を幸せな気持ちにしましたが、その訳ははっきり分かりませんでした。主は聖ヨゼフの知能の発育を早め、三歳のときには完全なものになりました。その時以来、この子供は神を信仰と常識と科学により万物の創造主として認めました。先生の教えをよく聞き、深く理解しました。幼いときに既に最高度の祈祷と黙想、諸徳実践に励みました。七歳のとき、既に知能と聖性において完璧でした。聖ヨゼフは可愛らしく、雄弁で誠実、天使的で完徳に進み、何らかの罪科のない生活により、至聖なるマリアとの婚姻に向かって前進しました。聖母は、聖ヨゼフに嫁ぐと主から告知されるとすぐに、ご自身の最も貞潔な思いと希望にかなうよう聖ヨゼフを聖別し、鼓舞してくださるように主にお願いしました。主は、聖ヨゼフの霊魂のなかに諸徳の最も完全な習慣や賜物を注入しました。貞潔の徳の完成はセフィラム以上に高められました。動物的感覚的不純は、一瞬たりとも聖ヨゼフの霊・身のどこにも存在しませんでした。他の諸徳、特に愛徳においても聖ヨゼフは抜き出ていました。神に対する愛のため、聖ヨゼフは病気になり逝去しました。御子と御母に強く結びつけられた愛に寄り焼かれたのです。御二人の愛にふさわしく応じた聖ヨゼフは、人間のなかで最も幸せです。主が他の誰にも示したことのない愛を聖ヨゼフに与えたので、万民が世々に至るまで聖ヨゼフを崇めるべきです。聖ヨゼフは御子と御母の間柄を知り、主の養父として、御母の真の夫として生きたことが聖ヨゼフの真面目ですが、聖ヨゼフが私たちの祈りを取り次ぐことについて次の七点を私は示したいと思います。第一、純潔の徳を得、肉体の感覚的傾向に打ち勝つため。第二、罪から逃れ、神との友情に必ず戻るため。第三、至聖なるマリアに対する愛と信心を高めるため。第四、幸せな死と、臨終において悪魔に対する守護を得るため。第五、聖ヨゼフの名前を唱えるだけで悪魔を怖がらせるため。第六、身体の健康とあらゆる種類の困難における助けを得るため。第七、子宝に恵まれるためです。もちろん、その他いろいろの取り次ぎを聖ヨゼフにお願いし、神から叶えてもらうことができます。

元后の御言葉  私の娘よ、聖ヨゼフはあなたが記したように、天国において諸聖人の中で最も高貴な方ですが、天国に来るまでは、誰も聖ヨゼフの傑出した聖性を理解できません。人類は私の夫の特権をあまりにも低く評価しています。聖ヨゼフが神に何を頼めるかを分かっていません。聖ヨゼフは神から大変愛されたかたで、神の罰を止めるように力を発揮します。あなたは大勢の人たちに聖ヨゼフの信心を勧め、あなたの修道女たちが聖ヨゼフへの信心に邁進するのを見届けるべきです。聖ヨゼフに依頼する人たちにその資格がなくても、主は聖ヨゼフの仲介を聞き入れてくださいます。