第4書 2章 マリアの配偶者に対する優しい謙遜 

御言葉の受肉の秘儀を告知されて以来、最も忠実な聖ヨゼフは新しい人間になりました。聖マリアに家の掃除や皿洗いなどをさせようとしませんでした。謙遜な者たちのなかで一番謙遜な聖マリアは、このような事態を何とか切り抜け、いつも謙遜の競争に勝ちました。聖ヨゼフが跪くのはご胎内の主に対してでしたが、外から見ると聖マリアに対して跪くようにも見えるので、聖マリアは跪かないように聖ヨゼフに願いました。聖ヨゼフは仕方なく、聖マリアに気づかれないように跪きました。主を拝むだけでなく、主の御母を崇めるためでした。この聖なる夫婦は、お互いに奉仕するチャンスを取り合いました。聖マリアが黙想している間に、聖ヨゼフが聖マリアの家事を横取りしたので、聖マリアは神に、聖ヨゼフが彼女の仕事にまで手を出さないように懇願しました。神は謙遜な聖マリアの願いを聞き入れ、天使を遣わしました。天使は聖ヨゼフに伝えました。「天地の被造物の全てよりも崇高である聖マリアの謙遜の望みを邪魔しないように、外面的には、普段は彼女に仕えないように、そして内面的には、いつでもどこでも聖マリアに一番の尊敬を払いなさい」。聖ヨゼフの貧しい祝福された家には三つの部屋がありました。一つの部屋に聖ヨゼフが寝泊まりし、もう一つの部屋は聖ヨゼフの大工部屋で、三番目は天の王女の居間兼寝室でした。自分の妻が天の御母であることを知る以前は、聖ヨゼフは滅多に聖マリアのところに行きませんでしたが、秘儀を知らされてからは聖マリアの世話をもっとしたがるようになりました。この所帯には召し使いも誰もいなかったので、両人の素晴らしい生活ぶりは外部にもれませんでした。聖マリアは必要な時は、隣家の女性の助けを請いました。この女性は、聖マリアが聖エリザベトの家に滞在していた間、聖ヨゼフの世話をしました。自分が病気のとき、聖マリアに見舞ってもらいました。この女性の家族全員が天の祝福を受けました。聖ヨゼフは、聖マリアが寝ているのを見たことがありません。聖マリアの睡眠は短い時間でした。聖ヨゼフの作った長椅子が寝台で、長椅子に掛けてある布が布団代わりになりました。聖マリアは、神殿での生活のときと同じ下着をいつも着ていました。上着や頭巾は時々取り替えました。聖マリアは汗を流さず、汚しもしませんでしたが、時々着替えて人々の好奇心を起こさせないようにしました。聖マリアの着物はすり減ることもありませんでした。肉の料理を聖ヨゼフに出しましたが、自分は決して肉を口にせず、果物、魚、普通のパンや料理した野菜を食べて健康を保ちました。