第8書 3章 福音書

会議が割礼の問題を解決したあと、聖ペトロは私たちの救い主にして師であるキリストの御生涯の神秘を書き記す必要性について参会者たちに提案しました。書物ができれば、使徒達、弟子たちは、信者たちに相違しない同じことを説教し、古い律法を廃止し、新しい律法を樹立できます。このことは、聖ペトロが聖母に前もって相談してあり、全参加者の賛成を得ました。一同は聖霊に祈り、誰が書くべきか聖霊に指示していただくようにしました。すぐに光が聖ペトロのうえに降り、御声が聞こえました。「司祭長なる教会の頭が、世の救い主の御業と御言葉を記録する者、四人を任命しなさい」。聖ペトロと全員はひれ伏して主に感謝します。全員起き上がると聖ペトロは話します。「私たちの愛すべき兄弟マタイが自分の福音書を御父、御子と聖霊の御名により書き始めなさい。マルコが二番目で、同様に福音書を御父、御子と聖霊の御名により書きなさい。ルカが三番目に、福音書を御父、御子と聖霊の御名により書きなさい。私たちの愛すべき兄弟ヨハネは、福音書を御父、御子と聖霊の御名により、私たちの救世主である師の神秘を書き記す第四番目、最後になります」。この決定がっ主により承認されたことは、聖ペトロの宣言がもう一度繰り返され、任命された者たちにより承諾されるまで天の光が聖ペトロに留まっていたことにより確かめられました。聖マタイは二、三日後に最初の福音を書き始める前に、高間の奥の部屋で祈り、主の歴史の初めについて啓示を願っていると、偉大な威厳と光輝の玉座に腰かけられた聖母が、ドアが閉めているのに入ってこられます。聖母は彼に立ちあがるようにおっしゃいます。彼は立ち上がり、聖母に祝福を願います。聖母は申されます。「私の僕であるマタイよ、あなたが福音を書くという幸運をいただき、神の祝福により福音を書き始めるようにいと高きお方が私をお遣わしになりました。あなたは聖霊の助けを頂きます。私の全心からそれを請い願います。しかし、人となられた御言葉の受肉と他の神秘を現すため、そして、主の教会の基礎として、世界に主の信仰を確立するために絶対必要なこと以外は書かないでください。この信仰が樹立された後で、主の強力な御手が私になさった神秘と祝福を信者たちに示す他の人々を、後ほど主は見つけられるでしょう。」聖マタイは聖母に従う意志をを明らかにし、福音を作成することを聖母に話していると、聖霊が目に見える形で降りてこられます。聖母のそばで聖マタイは書き始めます。聖母が去られたあと、書き続け、ユダヤで書き終えます。ヘブライ語で書き、完成したのは主の昇天の日から四十二年目です。福音史聖マルコは、主の生誕後四十六年目に自分の福音をヘブライ語でパレスチナで書きました。書き始める前に自分の書き始める意図を聖母に知らせ、神の啓示を得て下さるように聖母に願うことを守護の天使に頼みました。聖母はお聞きになり、主は直ちに天使たちに、最も美しい光輝く玉座に聖母をお乗せし、聖マルコの許にお連れするように命じました。聖母の前にひれ伏し、聖マルコは言いました。「救世主の御母なる全被造物の女主人様、私は御子と御身の僕であり、御身の御来訪の価値がないものです。」聖母は御答えになります。「あなたが仕え、愛するいと高きお方は、あなたの祈りが聞き届けられ、聖霊があなたの福音を書くにあたってお助けになることを保証するため私をお遣わしになったのです。」聖母は聖マタイにおっしゃったように、聖母ご自身のことは書かないようにおっしゃいました。即座に聖霊が目に見える輝く姿となり、聖マルコの上にお降りになり、お包みになり、内的啓示により満たされました。聖母のおられる間に、聖マルコは書き始めました。後に、聖マルコはラテン語でも書きました。その二年後、聖ルカはギリシア語で福音を書きました。聖ルカが書きはじめようとしたとき、聖母が出現されました。人となられた御言葉の受肉やキリストの自然な母としての威厳について書くことになりました。聖霊が聖ルカの上にお降りになり、聖母のそばで聖母から直接事実を教わりました。聖母が玉座に腰かけておられる姿を書くことは、聖母のご要求どおりしませんでした。そのとき、聖ルカはアカイアに住み、長い間、聖母とご一緒でした。最後で四番目の福音史家聖ヨハネは、聖母被昇天のあと、ギリシア語で、異端や誤りに対して書きました。聖母の被昇天のあと、ルシフェルたちは御言葉の受肉の信仰を弱めるため異端の種を撒いたのです。この信仰は過去において彼らを征服したからです。このため聖ヨハネは私たちの救世主キリストの真で疑うことのできない神性を論証したのです。聖ヨハネが書き始めようとしたとき、聖母は天から降ってこられました。多くの天使たちがお供しました。聖母はお話しになります。「ヨハネ、私の息子、いと高きお方の僕よ、全人類が御子を永遠の御父の御子として、真の神として、そして真の神として、そして真の人間として認めるようにあなたが書くときが来ました。私の神秘や秘密を書くときはまだ来ていません。世のなかは、私を偶像崇拝するかもしれませんし、ルシッフェルは救い主や聖三位一体の信仰を頂く人々を混乱させるかもしれません。聖霊があなたを助けるでしょう。」聖母は聖ヨハネを祝福し、聖ヨハネを生涯守ることを約束し、天にお昇りになりました。聖母が神の知識と神の知的幻視により高められるにつれて、教会にたいする世話と気配りも多くなりました。日々、信仰は地上に広がりました。真の御母なる先生として、使徒たちのことをこころから気遣いました。聖ヨハネ、聖小ヤコブ以外は全員、会議後エルサレムを離れました。聖母は使徒たちが外国で苦労することを心配しました。司祭として、御子の使徒として、教会の創立者として、教義の説教者として、いと高きお方の光栄に仕えるものとして、選ばれた者としての使徒たちに最高の崇敬の気持ちを持っていました。聖母は天使たちに、使徒たちや弟子たち全員の世話をし、苦労しているときは慰め、困難にあたっては助けるように指名しました。使徒たち、弟子たちが、今なにをしているのか、着物が不足していないか、天使たちに報告してもらいます。聖母は、彼らがエルサレムを出るとき、着ていたものと同じ着物をいつも着れるように手配されました。これは御子の着ておられたものと同じ形と色の着物です。天使たちの手を借り、ご自身の手で上着を織り、天使たちに、旅に出ている使徒たちに届けてもらいました。使徒たちは主と同じような格好で、主の御教えや御生涯について説教しました。食物に関しては、彼ら自身で托鉢するか、自給するか、自給するか、施し物をもらうか自分たちで決めさせました。迫害から、使徒たちは天使たちにより助けられます。聖母の御名により、天使たちは人の姿になって彼らに現れ、慰めます。時には、心の内部に働きかけます。牢獄から救い出したり、危険や罠について警告したり、旅に付き添い、場所や人に応じて何をすべきか教えたりします。天使たちは全てを聖母に報告します。聖母は、大変な労働をされ、使徒たちの全労働よりももっとされます。聖母が使徒たちや教会のために奇跡を行わない日も夜もありません。これら全ての他に聖母は使徒たちに手紙を何回も書きます。天からの勧告や教義、慰めや力づけのための手紙です。