第3章 天使の創造とルシフェルの堕落  

「初めに神は天と地を創られた。」天の創造は天使と人間のためで、地は死すべき人間の巡礼の場所です。天使は天において創られ、恩寵を頂いており、光栄のむくいを第一番目に受けるはずでしたが、神に従順になるまでは、神の御顔を明らかに見ることは許されませんでした。善天使にも悪天使にもとても短い試験があったのです。神から天使に与えられた命令がありました。第一に、天使たちは神の実体、つまり三位一体についての明瞭な知識を頂き、主を創り主、そして至高の主として認めるように命令されました。全ての天使はこの命令に服従したのですが、善天使は、愛、善意、尊敬と喜びにより従ったのに、ルシフェルは嫌々ながら、やむを得ず従ったのです。ルシフェルには主の命令に反対する我意がありました。ルシフェルの従順は傲慢ゆえに行われなかったのです。この時点で恩寵はルシフェルから除かれていませんでしたが、怠慢と延期はルシフェルの悪い状態の始まりとなりました。徳行の弱さと弛みがルシフェルの中に残ったからです。しかし、大罪も小罪も犯したとは言えません。と言うのは、ルシフェルが神の命令に従っていたからです。従い方が怠慢であり、不完全でした。従順を愛する代わりに、無理やり引きずられてやるという気持ちからそうなったのです。自分で墜落の危険に我が身をさらすことになりました。第二に天使たちは、神が天使たちよりは低い人性と理性の被造物を、神を愛し、畏れ、敬うために創ると教えられました。人間に大いなる好意が与えられること、聖三位の第二位が受肉し、人性をもち、人性を神性との一致まで引き上げること、人間も主を自分たちの頭として、神としてだけではなく、人となられた神として認めること、賛美し、尊敬することが天使たちに伝えられました。この人となられた神について予見された功徳を受け入れることは、天使たちがその時所有していた恩寵の源であり、将来受けるはずの光栄の源になることが示されたのです。天使たち自身が主の光栄のために創られたこと、他の全被造物もそうであることはよく分かっていました。神を知り、神を喜ぶ被造物は、神の御子の民であるべきこと、主を頭として知り、敬うこと、これが天使たちの命令となりました。従順で聖なる天使たち完全に同意し、認め、謙遜に愛をもって自分たちの意志を捧げました。ところが、ルシフェルは嫉妬と誇りのかたまりで、自分の部下たちを反抗するように仕向けました。また天使たちが受肉したみ言葉に従うべしという命令だけでなく、御父の御独り子が宿った「女」を御子とともに上司として認め、「女」は全被造物の元后であり、女主人であることを承認すべしという命令です。全天使たちは謙遜に従い、いと高き御方の力と神秘を称賛したのですが、ルシフェルとその反乱軍は誇りと傲慢の頂点に達し、激怒にかられたルシフェルは、全人類と全天使の首長になろうと欲しました。神が人間レベルに降り、人間と一致する代わりに、神は自分のなかに降りるべきであると要求しました。御母よりも低い地位に置くというご命令に反発し、叫びました。「このような命令は不正である。私の偉大さは傷ついた。主から愛され、えこひいきしてもらう人間たちを迫害し、滅亡させることにしよう。私の全力をつくそう。み言葉の母であるこの「女」を主が定めた地位から放り投げ、御身が定めた計画をぶち壊そう」主はルシフェルに語られた。「お前が軽蔑するこの女はお前の頭を踏み砕き、お前は消え去るであろう。」(創世三・十五)お前の妬みにより死がこの世に侵入したように、(知恵二・二四)、この女の謙遜により、死ぬべき者の生と救いがもたらされるであろう。この人(イエス・キリスト)とこの女(聖母マリア)の人格とイメージに基づく人たちは、お前と部下たちがなくした賜物と冠を頂くであろう」この神の説明に対し、龍はますます激怒にかられ、全人類を滅ぼすと脅迫しました。全能者はもう一つの素晴らしい啓示をお与えになりました。主のご降誕の神秘について十分に明瞭な知識を全ての天使たちに与えられたあとで、至聖なる童貞についての幻視をお見せになったのです。最も完全「女」における人性の完成が示されたのです。いと高きかたの御子が、他のいかなる被造物よりもっと素晴らしく創造されました。これを見て善天使たちは褒めたたえ、受肉された神と御母の名誉を守り、この幻視を無敵の盾として武装しました。悪天使たちは、執念深い憎悪と激怒をキリストと至聖なる御母にぶつけました。神の御命令に背き、キリストから離れ独立し、ルシフェルを先頭にして、聖ヨハネが記した大戦争が天において始まりました。黙示録十二章に書かれた通りのことが起こりました。大事なことですから第十二章一から十八を引用します。『また、天に大きなしるしが現れた。一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。女は身ごもっていたが、子を産む痛みと苦しみのため叫んでいた。また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜である。これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた。竜の尾は、天の星の三分の一を掃き寄せて、地上に投げつけた。そして、竜は子を産もうとしている女の前に立ちはだかり、産んだら、その子を食べてしまおうとしていた。女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖ですべての国民を治めることになっていた。子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた。女は荒れ野へ逃げ込んだ。そこには、この女が千二百六十日の間養われるように、神の用意された場所があった。さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。わたしは、天で大きな声が次のように言うのを、聞いた。「今や、我々の神の救いと力と支配が現れた。神のメシアの権威が現れた。我々の兄弟たちを告発する者、昼も夜も我々の神の御前で彼らを告発する者が、投げ落とされたからである。兄弟たちは、小羊の血と自分たちの証しの言葉とで、彼に打ち勝った。彼らは、死に至るまで命を惜しまなかった。このゆえに、もろもろの天と、その中に住む者たちよ、喜べ。地と海とは不幸である。悪魔は怒りに燃えて、お前たちのところへ降って行った。残された時が少ないのを知ったからである。」竜は、自分が地上へ投げ落とされたと分かると、男の子を産んだ女の後を追った。しかし、女には大きな鷲の翼が二つ与えられた。荒れ野にある自分の場所へ飛んで行くためである。女はここで、蛇から逃れて、一年、その後二年、またその後半年の間、養われることになっていた。蛇は、口から川のように水を女の後ろに吐き出して、女を押し流そうとした。しかし、大地は女を助け、口を開けて、竜が口から吐き出した川を飲み干した。竜は女に対して激しく怒り、その子孫の残りの者たち、すなわち、神の掟を守り、イエスの証しを守りとおしている者たちと戦おうとして出て行った。そして、竜は海辺の砂の上に立った。』